母と外食に出たときのこと。
お店の中で、母が急に大きな声で
お店に対する文句を言い始めた。
その頃の私は、まだそれがすごく恥ずかしくて、
慌てて母を連れて店を出た。
でも、外に出ても母は文句を言い続ける。
どうしていいかわからなくて、
ただ止めたくて、
気がついたら、近くの閉まっている商店街のシャッターの前で、
母の胸ぐらをつかんでいた。
ぐっと持ち上げたら、
母の体がひょいと浮いた。
母もびっくりしていたけど、
それ以上に、自分が一番びっくりしていた。
思いがけず、あんなふうにすぐ体が動いてしまったこと。
そして、その軽さ。
「ああ、母ってこんなに小さくなってしまったんやな」
そのとき、そう感じた。
いつの間にか、自分がこんなふうに
母を簡単に持ち上げられるようになっていたことにも驚いた。
でもたぶん、あのときはもう、
言葉では収拾がつかなくなっていたんやと思う。
それでも、あの動きは自分でも驚くくらい鋭くて、
まるで漫画みたいで、
「なんでこんなことしてるんやろ」
と、どこかで思いながらも、止められへんかった。
なんであんなことをしてしまったんやろう、とか、
あそこまで追い詰められてたんやな、とか、
あとになっていろいろ思う。
こうしたらよかった、とか、
うまくできた話ではないけど、
あのときの自分のことは、
いまだに忘れられへん。
恥ずかしい話やけど、
これを聞いて、少し気が軽くなる人がいたらええなと思っている。
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